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環境にやさしい紙とは?環境にやさしい紙の種類と環境配慮のためにできること

カテゴリー: コラム , コラム 投稿日:2022.09.19 / 最終更新日:2022.10.03
sanyoAdmin

執筆者山陽製紙

環境にやさしい紙とは?エコな紙の種類と環境配慮のためにできること私たちの日常生活の中で、書籍や新聞などの紙の存在は必要不可欠ですが、今、環境にやさしい紙づくりへの関心が高まっています。

環境にやさしい紙とは、紙ができるまでの工程、そして紙を廃棄する段階でもCO2の排出量を抑えるなどして、環境負荷が低くなることを目指した紙のことです。
山陽製紙も、CO2を削減する紙づくり、環境に配慮した製品開発の研究を日々行っております。そこで今回は、環境にやさしい紙とはどのようなものかや、そのメリットとデメリット、そして環境にやさしい紙のために個人でできることなどをご紹介します。

環境にやさしい紙とは?

環境にやさしい紙とは紙が私たちの手元に届くまでには、伐採、運搬、加工、流通などの過程があり、多くのエネルギーを消費し、莫大な量のCO2を排出します。
また、廃棄やリサイクル時にも同様にCO2が排出されるため、プラスチックなどと比較して「紙=環境にやさしい」と安易に判断するのは間違っています。

そこで、適切な森林伐採や製造から廃棄時のLCCO2(※1)、水光熱費削減などの環境負荷に配慮した環境にやさしい紙づくりが今注目されています。

(※1)LCCO2/ライフサイクルCO2とは製品の製造~販売~廃棄、再利用に至るまでのすべてのサイクルにおいて発生する二酸化炭素の量を評価するもの。

 

この環境にやさしい紙は「環境紙」と称され、森林保護や環境負荷低減などの目的別に様々な種類のものが存在します。

FSC森林認証紙

FSCとは、森林管理協議会(Forest Stewardship Council)の頭文字を取った略語で、国際的な森林管理制度を規定して、運営している非営利団体です。適切な森林管理のための10の原則と70の基準を定めています。

FSC認証を取得すると、商品にFSC商標を表示することができ、適切に管理された森林から伐採された木々から作った紙製品という消費者への証明となります。

無塩素漂白パルプ紙

明度の高い白紙を製造するためには、原料のパルプ(製紙原料としての木材などの植物繊維)を白く漂白する必要があります。

無塩素漂白パルプは、その名の通り塩素を用いずに漂白しているものであるため、製造された紙は塩素をほとんど含有していません。よって使用時や廃棄時に、有害物質である塩素化合物の発生の抑制が可能です。

再生紙

再生紙は、新聞や雑誌などの紙を古紙パルプにし、一部または全量を再利用してつくられた紙を指します。

日本のリサイクルに関する数字は、2020年で回収率:84.3%、古紙利用率:68.7%(参考:日本製紙連合会※リンクhttps://www.jpa.gr.jp/states/global-view/)と、アメリカや中国を上回る率で世界トップクラスです。これは、日本の古紙リサイクル技術・システムが優れていることと、国民の環境問題への関心が高い点が理由だとされています。

私たちの身の回りには再生紙が多く、コピー紙やチラシ、包装紙、紙袋、名刺などさまざまな用途で使用されています。

非木材紙

非木材紙とは、木材以外の植物繊維を原料としてつくられる紙です。

竹や藁、サトウキビなどの植物繊維が採用され、森林の乱伐やCO2排出を抑制する新たな原材料として注目されています。

特に竹においては、昨今、放置竹林が問題となっており、無秩序に生育した竹が生態系を破壊しているほか、地表面の日照を妨害しているため、その竹を伐採し有効活用することが、資源問題や環境問題の観点からも非常に有意義だとされています。

環境にやさしい紙のメリット

環境にやさしい紙のメリット上記に述べた環境にやさしい紙は、一般の紙(量販店などで販売しているコピー用紙など)と比べて、どのようなメリットがあるのでしょうか。

購入しやすい

一般の紙と環境にやさしい紙(再生紙など)の導入コストを比較すると、費用の差はそれほどなく、一般流通もされているため企業や個人を問わず購入しやすいことがメリットとして挙げられます。

また白色度の高い再生紙も、一般のコピー用紙と同様に市場に普及していることから、白さの差(明度の差)も少なく、品質的にも問題ありません。

再生紙は、一般のコピー用紙よりも安価なケースもあるため、イニシャル・ランニングコストも削減できる可能性もあるでしょう。

社会貢献できる

再生紙のエコマークやFSC森林認証のFSCラベルがあるものを消費者が選び購入することで、その行動が環境保全や森林保護の貢献となるため、環境にやさしい紙の存在は、環境に配慮した行動を起こさせる役割があると言えます。

また、企業であれば、資料やカタログを再生紙やFSC認証紙などでつくることで、SDGsへの取り組みなどの環境志向を取引先や消費者へアピールすることができます。

オリジナル商品をつくることができる

特に非木材紙においては、竹やバガス(サトウキビ)、バナナなど多様な植物からつくられており、それぞれが持つ独特の風合いや色味、手触りなどが魅力でもあります。

用途によっては、一般的な紙では生むことができない独自の商品をつくることができます。

環境にやさしい紙のデメリット

メリットが多いように感じる環境にやさしい紙ですが、企業などで導入するにあたって、どのようなデメリットが考えられるでしょうか。

印刷適正にやや欠ける

再生紙の種類によっては、一般的なコピー用紙と比較して、紙の色味が若干異なる場合もあります。

そのため、デザインや写真などを表現する媒体においては、適正なインクが乗り、色が再現できる紙を利用する方がよいと考える企業も少なくありません。

認知度が低い

食品加工時に排出される未利用の表皮や繊維を利用して作られたシリアルペーパーなどは、資源や廃材を有効利用した紙として環境貢献度は大きいのですが、主軸商品として展開する企業が少なく、一般消費者に対しての認知度はまだまだ低いのが現状です。

使ってみないと良さが分かりにくいため、導入時のハードルが高い点がデメリットとして挙げられます。

環境にやさしい紙のために個人でできること

環境にやさしい紙のために個人でできること再生紙の原料となる古紙には、新聞や雑誌、段ボールや牛乳パックなど、さまざまな種類があります。
しかし、全ての古紙がリサイクルできるわけではなく、紙の種類や加工方法によっては再生紙の原料とならないものもあります。

表面特殊加工紙(ラミネート、コーティングなど)
油分付着紙(食品残渣付着など)

例えば、ラミネート加工などの特殊加工がされた紙は、原料となる繊維の取り出しに高いコストがかかるため、山陽製紙では再利用はしていません。
また、油分が多く付着した紙に関しても、排水負荷による影響が強いほか、再生クレープ紙を製造する際に必要なシワが均一につかない、強度が下がるなどの問題が出てくるため、基本的に再利用には不向きだと考えています。

ただし、そのままでは紙にできないものでも細かく砕いて配合量を調整することで、紙に漉き込むことができる場合もあります。そのため、古紙をリサイクルする際には、各個人が種類ごとに分別し、再利用できないものが混ざらないようにすることが大切です。

環境にやさしい紙のために山陽製紙が実践していること

環境にやさしい紙のために山陽製紙が実践していること
再生紙のスペシャリストである山陽製紙では、環境負荷の低い紙づくりを目指し実践しています。その取り組みの一部をご紹介します。

活性炭ろ過方式排水処理設備の導入

当社では、約3億円の設備投資を行い、活性炭ろ過が可能な排水処理設備を2018年1月31日より試運転を終えて本格稼働しました。排水処理設備による処理を行うことで、最大CODを5ppm以下、最大BODを5ppm以下に抑えることができるようになりました。

CODは水中の被酸化物質を酸化するために必要とする酸素量、BODは水中の有機汚染物質が微生物により分解されるときに消費される酸素量のことですが、目安としてCOD5ppm以下、BOD5ppm以下の水では鯉や鮒などの淡水魚が生息することが可能です。

漂白剤の不使用

再生紙を非再生紙のように漂白する段階でかなりのCO2が発生しますが、山陽製紙では漂白を行っていません。そのため斑点が生じることがありますが、さまざまな紙を混ぜ合わせることで色や強度を調整し、用途に応じた紙をつくっています。

これによって、山陽製紙の再生紙づくりではCO2の排出量がより少なく、さらに環境にやさしい紙となっています。

再生エネルギーの使用

山陽製紙では、CO2削減に貢献するため、非化石証書による電力を用いて工場を稼働しています。

風や太陽光などの自然エネルギーを活用した電力を使用することで、化石燃料使用時のCO2排出量削減に貢献し、環境負荷を抑制した環境にやさしい紙づくりを実現しています。

紙創りを通して喜びを共有する山陽製紙

山陽製紙は創業以来、紙と共に歩んできた再生紙のスペシャリスト集団です。

環境のみならず、様々な社会的な課題に真摯に向き合い、自社の特徴を活かしながら解決のために挑戦する企業のお役に立ちたいと考えています。

小ロットでも発注できる製紙メーカーを探している
製紙・商品開発の相談がしたい
工場見学をしてみたい

…など、ぜひお気軽に山陽製紙にお問い合わせください。

紙創りを通して喜びを共有する山陽製紙

紙創りを通して喜びを共有する山陽製紙 山陽製紙は創業以来、紙と共に歩んできた再生紙のスペシャリスト集団です。 環境のみならず、様々な社会的な課題に真摯に向き合い、自社の特徴を活かしながら解決のために挑戦する企業のお役に立ちたいと考えています。
  • 小ロットでも発注できる製紙メーカーを探している
  • 製紙・商品開発の相談がしたい
  • 工場見学をしてみたい
…など、ぜひお気軽に山陽製紙にお問い合わせください。
sanyoAdmin

執筆者:山陽製紙

1957年の設立以来、60年余り大阪・泉南市で再生紙に携わってきた紙づくりのプロフェッショナル集団です。 工業用クレープ紙の製造のほか、廃棄されてしまう製造副産物やオフィス古紙などを紙に抄き込みアップサイクルした「オーダーメイド再生紙」や、オフィス古紙の回収や再資源化サービスの「PELP!」など、限りある資源を活用し、循環型社会を実現するため日々取り組んでいます。 小さな製紙メーカーだからこそできる600kgからの小ロットの製紙で、お客様の想いに寄り添った紙づくりを実現していきます。