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脱プラスチックのメリット・デメリットとは?SDGsの取り組みに向けて

カテゴリー: コラム , コラム 投稿日:2022.05.27 / 最終更新日:2022.07.14
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執筆者MU

脱プラスチックのメリット・デメリットとは?

プラスチックが海に流れ込み、生態系に影響を与えるマイクロプラスチック問題や、二酸化炭素排出量増加における環境保護の観点からも注目が高まっている「脱プラスチック」ですが、脱プラスチックに取り組むことにより、どんなメリットやデメリットがあるのかご存じでしょうか?

今回は再生紙のスペシャリスト集団でもある山陽製紙が、製紙業界から見た脱プラスチックのメリット・デメリットについて解説します。

脱プラスチックへの取り組みが必要な理由

脱プラスチックとは、「脱プラ」と省略されることもあり、プラスチック製品の使用を止めたり他の素材に変えたりすることを指します。

では、なぜ脱プラスチックが必要なのか、その主な理由をそれぞれ解説します。

海洋プラスチック問題

プラスチックは石油化学製品であるため、放置された場合、自然に分解して土に還ることはありません。そのため、ポイ捨てされたペットボトルやポリ袋などのプラスチック製品が海に流れ着くと、波や、太陽光、紫外線などの刺激で細かく砕け、5mm以下の「マイクロプラスチック」と呼ばれる形になります。

そして海の生物が小さくなったプラスチックを食べ、そのまま食物連鎖を経て、有害物資などが体内で濃縮され、結果的に人間の健康にも悪影響を及ぼすと懸念されています。

循環型社会への貢献

ペットボトルなどの一部のプラスチック製品は、ゴミとして出されても、分別されてリサイクルされるものもありますが、全てが資源として再利用できるわけではありません。

天然資源の使用を控え、廃棄物の中でも有用なものを新たな資源として再利用する循環型社会への取り組みの一つとしても、脱プラスチックは欠かせないものとなります。

資源の高騰

脱プラスチックへの取り組みが必要であるのは、資源の高騰も理由の一つです。

特に、石油の高騰は課題となっているため、少しでも石油資源を節約することが大切になります。

脱プラスチックのメリットとは

脱プラスチックのメリット

では、脱プラスチックには、どのようなメリットがあるのでしょうか?
製紙業界から見た脱プラスチックに対する考え方をまとめます。

二酸化炭素の排出量削減

脱プラスチックに取り組む一番大きなメリットは、二酸化炭素の排出量を減らし、環境保護に大きく貢献できることです。

実は、廃棄されたプラスチックゴミを処理する際に、大量の二酸化炭素が排出されていることをご存じでしょうか?

東京都環境局「プラスチック製容器包装」のデータでは、東京都内における家庭・大規模なオフィスビルから排出されるプラスチックの約90%にあたるおよそ70万トンが焼却され、145万トンもの二酸化炭素が発生しているとのこと。

二酸化炭素を排出してしまうことで、大気汚染が進み、地球温暖化の原因ともなってしまうため、脱プラスチックに取り組むことで、二酸化炭素排出量の削減に貢献でき、気候や生態系を守ることができます。

典型7公害の解消・改善に貢献

脱プラスチックのメリットは二酸化炭素の排出量削減だけではありません。

プラスチック廃棄時の二酸化炭素排出における大気汚染をはじめとして、自然に還らないプラスチックがポイ捨てされることによって起こる水質汚染や土壌汚染など、公害対策基本法や環境基本法で「典型7公害」として定義されている「大気汚染・水質汚濁・土壌汚染・騒音・振動・地盤沈下及び悪臭」の7種類の公害の解決・改善においても、脱プラスチックに取り組むことで貢献することができます。

製造業の活性化が図れる

脱プラスチックへの取り組みには、製紙業界を筆頭に製造業の活性化を図ることができるというメリットもあります。

特に近年では、脱プラスチックへの取り組みが注目され、レジ袋が有料化することによってさまざまな素材のエコバックが普及したり、食品容器やストローなどがプラスチックから紙製品に移行されたりと、脱プラスチックによってこれまでとは異なる業界が活性化しています。

脱プラスチックのデメリット

では次に、製紙業界から見た脱プラスチックのデメリットについてまとめていきます。

耐久性・防水性

脱プラスチックのデメリットをまず挙げるとすれば、プラスチックの代替品として使用される紙製品と従来のプラスチック製品を比較すると、耐久性や防水性などの面において劣るため、製品維持力が低いという点があります。

プラスチックは簡単に製造や加工ができますが、ある程度の耐久性や防水性もあり、熱などを加えなければ形状が変わりにくいですが、紙製品の場合、プラスチック製品と比べて水に弱く、形が変わりやすかったり、重みに耐えられず破けたりと、中に入れるものによっては耐久面でデメリットとなってしまう場合があります。

他商品との差別化がしにくくなる

例えば、脱プラスチックへの取り組みによってプラスチックを使わずに紙製品を代替品に使って商品パッケージをデザインする場合、プラスチックで可能だった透明包装や半透明デザインなどが難しくなります。
その結果、パッケージデザインの幅が狭くなり、結果的に他商品との差別化が難しくなるという点もデメリットになるかもしれません。

現状ではまだ食品包装や飲料ボトル、それらのラベルにプラスチック製品が使われているものが多いですが、将来的にさらに脱プラスチックへの取り組みが進んだ場合は、さらに競合との差別化が難しくなるかもしれません。

プラスチックから紙へ

プラスチックの代替品として紙製品に移行することは、前述したようなデメリットもありますが、植物由来の素材で作られるプラスチックのような「透明な紙」など、そのデメリット補う新しい紙も開発されているため、近い将来、今よりも脱プラスチックへの取り組みが進むかもしれません。

もちろん、プラスチックは現代社会においては必要不可欠な製品です。しかし便利だからと言って何の対策もせず、これまでのように大量製造・消費していては、限りある資源を消費してしまうだけでなく、海洋プラスチック問題や地球温暖化など環境にも悪影響を与え続けてしまいます。

できるところから少しずつプラスチック製品を削減し、紙製品へと移行してみてはいかがでしょうか?

脱プラスチック以外にも!山陽製紙が取り組むSDGs

脱プラスチック以外にも!山陽製紙が取り組むSDGs

山陽製紙は脱プラスチック以外にも、SDGsの一環として二酸化炭素排出量削減やESD(持続可能な開発のための教育)など、さまざまな施策に取り組んでいます。

脱炭素社会への貢献

山陽製紙では、SDGsの一環として二酸化炭素の排出量を削減し、脱炭素社会に向けた取り組みを行っています。

具体的な取り組み内容は以下の通りです。

  • 各部署における使用電力削減
  • ボイラ燃料、自動車燃料の削減
  • 工場で稼働するリフトを、石油系燃料を使用しない電気の動力に変更
  • 再生可能エネルギーの導入(FIT電気)

また再生紙を作る際も、二酸化炭素を大量に排出する漂白を行わず、牛乳パックから取り出した古紙パルプを適宜混ぜて白さと強度を増すなどの工夫を施し、企業活動だけでなく紙づくりにおいても地球環境を意識しています。

産業廃棄物排出量の削減

山陽製紙では、工場や事務所における一般廃棄物の削減や産業廃棄物の削減を行っています。

また、食品加工業者の間で産業廃棄物として処分に悩んでいた“梅の種”を炭にして、独自の製法で炭の機能を持った紙に生まれ変わらせ、「SUMIDECO」としてブランド化するなど、環境を意識した製品づくりを心掛けています。

「SUMIDECO」の詳細についてはこちら

ESD(持続可能な開発のための教育)

山陽製紙では、従業員のSDGsへの理解や環境問題への取り組みに対する意識を高める活動として、以下のような取り組みを行っています。

  • 従業員のeco検定®・CSR検定取得
  • 工場に隣接する男里川(大阪府泉南市)の清掃活動
  • 地域の教育機関・NPOとの連携した出前授業

企業としてSDGsの一つである脱プラスチックに取り組むだけでなく、社員一人一人が環境に関する意識を高め、家庭や学びの場に広めることを心がけています。経済活動だけではなく、こうした小さな取り組みからも環境に配慮した紙創り、再生紙創りを目指しています。

紙創りを通して喜びを共有する山陽製紙

紙創りを通して喜びを共有する山陽製紙 山陽製紙は創業以来、紙と共に歩んできた再生紙のスペシャリスト集団です。 環境のみならず、様々な社会的な課題に真摯に向き合い、自社の特徴を活かしながら解決のために挑戦する企業のお役に立ちたいと考えています。
  • 小ロットでも発注できる製紙メーカーを探している
  • 製紙・商品開発の相談がしたい
  • 工場見学をしてみたい
…など、ぜひお気軽に山陽製紙にお問い合わせください。
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