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紙の製造と日本の森林環境問題の関係は?豊かな未来のためにできる行動とは

カテゴリー: コラム , コラム 投稿日:2022.09.12
sanyoAdmin

執筆者山陽製紙

紙の製造と日本の森林環境問題の関係とは紙の元である森林を無秩序に伐採する行動は環境破壊につながるため、世界的に解決していかなければならない問題ですが、日本も例外ではありません。今回は、紙の消費量が多い日本の森林環境と紙との関係性についてご紹介します。

森林の過剰な伐採による環境破壊が世界的な問題となっていますが、国民一人あたりの紙消費量が世界で最も多い国である日本も例外ではありません。
しかし一方で、紙の回収率や古紙利用率はアメリカや中国を上回って世界トップクラスを誇るもので、これは日本のリサイクルへの意識の高さが感じられます。

そこで今回は、紙と日本の環境問題の関係性についてご紹介します。

日本の森林環境が抱える問題とは

日本は、国土の約67%が森林であり、その中の30%が人工林です。温暖で湿潤な気候であり、緑が豊かな国のひとつだと言えます。
世界では、熱帯雨林などが無秩序に伐採され、環境破壊が進んでいるのが現状ですが、日本ではそれほど過剰な森林の伐採はなされていません。

それよりむしろ重大な問題は、放置された人工林です。
というのも、人工林が放置され、密生し必要以上に生い茂ってしまうと、地面付近に太陽光が届かなくなってしまうためです。
現在では、幹や根がやせて森林本来が持つ生物保全や水源涵養(すいげんかんよう)機能などが失われていることが問題視されています。
森林が生い茂れば光合成が盛んに行われ、環境によさそうなイメージがありますが、樹齢の長い木は二酸化炭素の吸収量が減り、逆に排出する二酸化炭素の量が多くなってしまうのです。
そのため、資源として活用できる程度に木が成長した際には、適切に伐採し木材として有効に活用することが、未来の地球環境のためになると言えます。

紙と森林環境問題との関係性

紙と森林環境問題との関係性紙と森林環境問題には密接な関係があります。
紙は森林資源を元に加工して作られていますが、その紙の生産のために、世界では過剰な森林伐採が行われ、地球温暖化が深刻な状況になっています。

また、昨今、世界規模で取り組まれている脱プラスチックも森林環境問題と無関係ではありません。
プラスチックは耐久性が高く、軽量で加工性に優れています。一方で、廃棄する際に自然分解されないことや、燃焼の工程では有害なガスを排出するなどでデメリットも大きいため、脱プラスチックに多くの企業がCSRの一環として取り組んでいるのです。
脱プラスチックは、環境に配慮した取り組みではありますが、その代替品となるのは多くの場合、紙です。
例えば1tの紙を作る場合、木材30本(15cm×8m相当)、水100t、電力 約850kwを使用するだけでなく、製造時にCO2が約1,250kg排出されるという計算になるのですが、これは決して少ない数字ではありません。

そのため、脱プラスチックによって環境にやさしい紙が使われると思い込むのではなく、いかに環境負荷をかけない紙づくりを行うかが大切になってきます。

製紙業界や企業が環境問題解決のためにできること

紙に関する環境問題を解決するために、製紙業界や企業ができることには何があるかをご紹介します。

森林認証制度の採用

森林認証制度の採用
国際的な非営利団体FSC(Forest Stewardship Council:森林管理協議会)は、森林認証制度(FSC認証)と呼ばれる適切な森林管理のための10の原則と70の基準を定め、無秩序で営利目的の森林破壊を抑制し、持続可能な社会を実現を目指しています。

製紙業界は、FSC認証の原則と基準に沿った森林管理がなされた木材を使用をすることや、加工・流通過程で関わる企業も、認証を取得していない不適格なものが混ざらない過程を選択すること、そして最終的に消費者にFSCラベルのついたものを届けることで、森林の適切な管理に貢献することができます。

ペーパーレス化

ペーパーレス化近年、多くの企業では資料のPDF化を行い、プレゼンや会議などでの紙媒体の資料を削減しています。
資料をデータ化することで、やり取りなどが円滑かつスピーディーに行えるため、仕事の効率化と紙資源の使用量削減が両立されています。

裏紙としての再利用

印刷ミスや誤記による排紙となった用紙の裏側を使用する取り組みに積極的な企業が増え始めています。
機密情報などが記載されていることも多いため内部資料向きの取り組みですが、紙の利用量と排紙量が縮減できる具体的な施策にあたります。

再生紙の利用

一般的なコピー紙、上質紙などの非再生紙(バージンパルプを使用した紙)ではなく、再生紙を使用することが森林伐採量を削減することにつながり、一番取り組みやすい方法として挙げられます。
製紙技術の向上によって、非再生紙のコピー用紙などと比較しても品質や印刷適正に差が少ないことも採用しやすいポイントです

紙を通して森林環境問題解決のために個人ができること

森林に対する環境的な配慮について、私たちが今日から実践できることを挙げてみます。

FSC認証のものを購入する

先ほどもご紹介しました、FSC認証のマークがついた商品を選ぶことは、消費者が個人でできる森林環境を考えた行動です。

FSC認証マークは、トイレットペーパー、紙袋、お菓子の箱などに使用されている他、FSC認証紙を使用した紙ストローを使用している飲食店もあります。

商品選びに悩んだ際には、エコな視点から選択してみるのも良いのではないでしょうか。
FSC認証のものを購入する

排紙を使ったメモ帳

プリントミスなどのA4やA3などの排紙をポケットサイズに切断し、クリップなどで束ねてメモ帳として使う行動です。
はさみとカッターがあれば簡単に作れて、使い勝手が良く、新しいメモ帳購入の経費を削減できます。

デスクに置いておくと電話のメモにも使用でき、非常に便利です。

雑がみを資源ごみとして捨てる

紙の資源ごみというと、段ボールや新聞、雑誌を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、最近では、これら以外の紙も資源ごみとして収集してくれる自治体が増えてきています。

具体的には、チラシやパンフレット、紙袋、封筒、包装紙、コピー用紙、お菓子の紙の箱などで、これらをまとめて「雑がみ」と言います。
雑がみを丸めて可燃ごみに捨てるのではなく資源ごみとして出せば、段ボールなどと同様に古紙として回収されリサイクルの対象となるのです。

山陽製紙の環境負荷を減らす取り組み

山陽製紙でも、再生紙や紙製品の製造にあたって、環境負荷を減らすためにさまざまな取り組みを実施しています。

活性炭ろ過方式排水処理設備

山陽製紙の浄水施設およそ3億円の設備投資を行い、活性炭ろ過が可能な排水処理設備を2018年1月31日より試運転を終えて、本格稼働しています。

排水処理設備による処理を行い、最大COD(※1)を5ppm以下、最大BOD(※2)を5ppm以下に抑えることができます。
一般的にCOD5ppm以下、BOD5ppm以下の場合、鯉や鮒などの淡水魚が生息することが可能な程度の水質とされるため、環境に影響を与えない状態にして排水しています。

(※1)COD(Chemical Oxygen Demand=化学的酸素要求量)、湖沼や海域などの水の汚れの度合を示す指標。
(※2)BOD(Biochemical Oxygen Demand=生物学的酸素要求量)、河川などの水の汚れの度合を示す指標。

漂白剤の不使用

再生紙を新品の紙のように漂白する段階でかなりのCO2が発生しますが、山陽製紙では漂白を行っていません。そのため斑点が生じることがありますが、さまざまな紙を混ぜ合わせることで色や強度を調整し、用途に応じた紙をつくっています

再生エネルギーの使用

山陽製紙では非化石証書による電力を用いて工場を稼働しています。
風や太陽光などの自然エネルギーを活用した電力を使用することで、化石燃料使用時のCO2排出量削減に貢献し、環境負荷を抑制しています。

紙創りを通して喜びを共有する山陽製紙

山陽製紙は創業以来、紙と共に歩んできた再生紙のスペシャリスト集団です。
環境のみならず、様々な社会的な課題に真摯に向き合い、自社の特徴を活かしながら解決のために挑戦する企業のお役に立ちたいと考えています。

小ロットでも発注できる製紙メーカーを探している
製紙・商品開発の相談がしたい
工場見学をしてみたい

…など、ぜひお気軽に山陽製紙にお問い合わせください。

紙創りを通して喜びを共有する山陽製紙

紙創りを通して喜びを共有する山陽製紙 山陽製紙は創業以来、紙と共に歩んできた再生紙のスペシャリスト集団です。 環境のみならず、様々な社会的な課題に真摯に向き合い、自社の特徴を活かしながら解決のために挑戦する企業のお役に立ちたいと考えています。
  • 小ロットでも発注できる製紙メーカーを探している
  • 製紙・商品開発の相談がしたい
  • 工場見学をしてみたい
…など、ぜひお気軽に山陽製紙にお問い合わせください。
sanyoAdmin

執筆者:山陽製紙

1957年の設立以来、60年余り大阪・泉南市で再生紙に携わってきた紙づくりのプロフェッショナル集団です。 工業用クレープ紙の製造のほか、廃棄されてしまう製造副産物やオフィス古紙などを紙に抄き込みアップサイクルした「オーダーメイド再生紙」や、オフィス古紙の回収や再資源化サービスの「PELP!」など、限りある資源を活用し、循環型社会を実現するため日々取り組んでいます。 小さな製紙メーカーだからこそできる600kgからの小ロットの製紙で、お客様の想いに寄り添った紙づくりを実現していきます。