Made in Japanの靴下

カテゴリー: よみもの 投稿日:2021.07.30 / 最終更新日:2024.11.21
sanyoAdmin

執筆者山陽製紙

Made in Japanの靴下

“Made in Japan”

このことに日本人は「誇り」を持っています。

“Made in Japan”は、品質の良さの代名詞だから。多くの人はタグに“Made in Japan”とあると、安心します。

その安心感の源となる「ものづくり」とはどのようなものなのか。その神髄を奈良にあるタビオの「靴下製造工場」と「加工仕上げ工場」で見てきました。

最近は、「存在感失う残念な20年 科学技術立国日本のいま」などという見出しが躍ったり、すっかり自信を失っているように見える日本の「ものづくり」。

“Made in Japan”の本質は、そんなこととは別のところにあるのだ、ということに気づいた工場見学でした。

追求された履き心地と品質

タビオのコーポレートサイトタビオ株式会社-Tabio(タビオ)のトップには、靴下の編み機が動く様子が一番に出てきます。

手編みの原理がそのまま機械に移されていて、一足ずつ丁寧に編み上がっていきます。

指先にあたる部分の編み目の数も、かかとの部分の編み目の数も、足首を包むリブ編みの目の数も、一つ一つが気持ちよく履けるように計算されています。

そして、靴下の形になるまで、人の手による幾つもの工程があり、工程の最後では、光の棒に履かせた靴下を一足一足丁寧にチェックします。素人目には分からない糸飛も、光の中に浮かび上がってきてベテランのスタッフは見逃しません。

光の棒に履かせた靴下を丁寧にチェック

光の棒に履かせた靴下を丁寧にチェック

驚いたのは、「加工仕上げ」専門の工場があること。

つまり、出来上がった靴下にプレスをかけ、形を整えるためだけの工場です。

足の大きさや用途、素材に応じて、仕上げの足型が異なるのです。スチームを当てる前に、どの足型を使うか、幾つもの種類から最適な型を選び、最適な温度、時間をかけてプレスされます。

すべて職人の磨き上げてきた技術で最終仕上げになるのです。大きさ、用途、素材、デザイン・・・様々な要素を組み合わせる智恵が、仕上げ加工には必要になってくるからです。

靴下工場足型

タビオのお店「靴下屋」に入ったときの、専門店ならではの雰囲気、お気に入りを見つけるときの楽しさ、店舗のスタッフさんとの会話は、心が豊かになる瞬間です。

すごいことだな、と感じたのは、世界中にある「靴下屋」の店舗からの情報が、協力工場にダイレクトに届くということ。

だから、不要な在庫はタビオ本社にも、協力工場にも、店舗にも残らないようになっています。

必要なものを必要な時に、必要なだけつくることを、協力工場が自ら判断し、必要であれば意見も伝える。協力工場が、タビオと同じ呼吸をする関係性。これは、創業のころから、共に苦労をして築き上げた関係性が、タビオが上場企業になっても息づいているからなのだと、現地で目の当たりにしてきました。

“Made in Japan”の真の魅力は、実は目に見えない、生産に携わる一人一人の「使う人に喜んでもらいたい」という「誠心誠意」があるからであり、それが製品となって消費者の手元に、適正な価格で届くというところにあるのだと、気づきました。

tabio創業の誓い

tabio創業の誓い

同じく「ものづくり」を生業とする山陽製紙ですが、手漉きの紙をつくるように、昔からのマシンで、ゆっくりと丁寧に紙をつくっていきます。出来上がるまでの一つ一つの工程を、どれ一つ気を緩めることなく、「誠心誠意」誇りを持って磨き上げていきたいと思います。

この記事を書いたひと

原田千秋 山陽製紙株式会社 専務取締役

原田千秋山陽製紙株式会社 専務取締役

広島県呉市出身

広島大学教育学部卒業後、同じ大学のマンドリンクラブで同期だった原田六次郎氏(現:山陽製紙株式会社 代表取締役社長)と結婚。
中学校の教員を経て、1992年、経理等を担当するため山陽製紙の社員となる。
瀬戸内海の島育ちにも関わらず、水泳もできない運動音痴。
耳元に広がる波の音や、山が黄金色に染まるみかん畑などが心の原風景。
山陽製紙(株)の経営ビジョン「地球の財産を生かし、自然と共に生きる永続企業」もその様な原風景が背景にある。
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    紙創りを通して喜びを共有する山陽製紙 山陽製紙は創業以来、紙と共に歩んできた再生紙のスペシャリスト集団です。 環境のみならず、様々な社会的な課題に真摯に向き合い、自社の特徴を活かしながら解決のために挑戦する企業のお役に立ちたいと考えています。
    • 小ロットでも発注できる製紙メーカーを探している
    • 製紙・商品開発の相談がしたい
    • 工場見学をしてみたい
    …など、ぜひお気軽に山陽製紙にお問い合わせください。
    sanyoAdmin

    執筆者:山陽製紙

    1957年の設立以来、60年余り大阪・泉南市で再生紙に携わってきた紙づくりのプロフェッショナル集団です。 工業用クレープ紙の製造のほか、廃棄されてしまう製造副産物やオフィス古紙などを紙に抄き込みアップサイクルした「オーダーメイド再生紙」や、オフィス古紙の回収や再資源化サービスの「PELP!」など、限りある資源を活用し、循環型社会を実現するため日々取り組んでいます。 小さな製紙メーカーだからこそできる600kgからの小ロットの製紙で、お客様の想いに寄り添った紙づくりを実現していきます。

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